DRIVER UNIT
 for
 STAX EARSPEAKERS

を Study する


“Driver Unit for STAX Earspeakers を Stady する その2” はこちら
“Driver Unit for STAX Earspeakers を Study する その3” はこちら
“Driver Unit for STAX Earspeakers を Study する その4” はこちら



・高電圧が恐ろしい。ので手を付けない方が吉。と思っていたにもかかわらず手を付けてしまった。(爆)

・スタックスのイヤースピーカーヘッドフォン)はなかなかに素晴らしい。過渡(トランジェント)特性において他に比類なしと思えるほど抜きん出た性能だ。だから再生する音は透明で極細部まで見通しが利きハッとするほどリアルで全く聴き疲れすることがない。なので、この際、分もわきまえずそのドライブアンプを自作してみようかなどという気になったのである。

・で、まずは下手な検討。

はじめにアンプの所要出力電圧からアンプの所要電源電圧を考える。

・SR−404にはSR−Lambda seriesの取扱説明書が付いているが、これによればSR−Lambda serirs(404、303&202)の音圧感度は100dB/100Vr.m.s.入力/1kHzとあり、また最大音圧レベルは118dB/400Hzとある。ので、この2点からすると、最大音圧レベルまでドライブするためには100Vr.m.s.の8倍(=+18dB)の800Vr.m.s.(=2,263Vp−p)の出力電圧が必要だということになる。なんとも、気が遠くなりそうな電圧だわなぁ。(^^;

・が、一方、純正のドライブアンプのスペックをみると、その最大出力電圧はSRM−727tAの450Vr.m.s./1kHzが最大で、次いでSRM−323Aが400Vr.m.s./1kHz、SRM-300が350Vr.m.s./1kHz、SRM-007tAが340Vr.m.s./1kHz、SRM-006tAが300Vr.m.s./1kHz、そしてSRM−252Aが280Vr.m.s.となっており、800Vr.m.s.というものはない。純正のドライブアンプの最大出力電圧がそうなっているということは、スタックスのイヤースピーカーをドライブするためには、そのぐらいの最大出力電圧で十分だということだろう。

・そこで、そのうち最大の450Vr.m.s.の最大出力電圧を得るためにはどの程度の電源電圧が必要かを考えると、正弦波で450Vr.m.s.ということは、そのピークtoピーク電圧は450×√2×2= 1,273Vp-pである。いやはや、これでももの凄い高電圧なのだ。そこで、少しでも所要電源電圧を下げるため、これを半分の電源電圧で得られるBTL動作、すなわちバランス動作で得るとして、各バランス出力は637Vp-pの最大振幅が必要だということになる。

・この最大出力電圧を得るためには、飽和電圧等による無効電圧を少なくできる純半導体アンプで実現するとしても、完全にレールtoレールという訳にはいかないので、電源電圧としてはDC660Vは必要だろうか。これをプラスマイナス2電源方式で考えれば±DC330Vの電源を用意しなければならないということになる。同様にして400Vr.m.s.ならば±DC300V、350Vr.m.s.ならば±DC270V、300Vr.m.sならば±DC240V程度か。

・もしこれを真空管アンプで実現するとなれば、これに真空管のP-K間の無効電圧を加えなければならないのでさらに高電圧の電源が必要となる。が、純正ドライブアンプにおいて真空管を起用したハイブリッド系機種の最大出力電圧が純半導体系機種のそれより100Vr.m.s.程度低いところをみると、DC660V(±DC330V)くらいの電源電圧は、入手可能素子やコスト面の制約等の現実問題で、もはやそうそうこれ以上に上げられない領域のものなのだろうと推測されるところだ。し、私が某大衆家電量販店で実際に聴いた限りでは、最大出力電圧が300Vr.m.s.のSRM−006tAとSR−404の組み合わせ(SRS−4040A)でも十二分な音量だと感じられたので、現実的にはこれで十分だということなのだろう。

・次にアンプの所要出力電流を考える。所要電源電圧が分かれば、所要電流が分かることにより必要な出力電力(パワー)とドライブアンプの終段の規模が想定できる。

・この際イヤースピーカーとはいかなる負荷なのかが問題だ。コンデンサー型であるから、要すれば容量負荷なのだろうが、スペックによればSR-007Aの容量がケーブル込みで94pFで、そのインピーダンスが10kHzで170kΩとある。SR−404では容量がケーブル込みで110pFでそのインピーダンスは10kHzで145kΩであり、SR−303とSR−202は同じで、容量がケーブル込みで120pF、インピーダンスは10kHzで133kΩとある。

・イヤースピーカーの構造を考えると、これがそのままドライブアンプの負荷なのだろうか?という気がしないことはないのだが、コンデンサーのインピーダンス=1/(2πfc)に、f=10kHz、c=94pF、110pF、120pFを代入して計算するとそれぞれ170kΩ、145kΩ、133kΩとスペック通りの数値になることから、イヤースピーカーは、ドライブアンプにとって、C=94pF、110pFまたは120pFの純粋容量負荷であると素直に考えて良いのだろう。多分。
・であれば、こんなpFオーダーの容量負荷ならドライブするのは簡単だ。

・と、考えたくなるが、実は案外そうではない。

・何故ならドライブ電圧が非常に高いからである。ドライブアンプの最大出力電圧を450Vr.m.s.とした場合のピークtoピーク電圧は1,273Vp-pなのだから、負荷インピーダンスが170kΩ、145kΩ、133kΩであったとしても、ピーク電流はそれぞれ7.49mA、8.78mA、9.57mA必要なのである。で、これで必要十分か?というと、この負荷インピーダンスは容量負荷の10kHzでの値であるので、20kHzの場合は当然インピーダンスは1/2となるから、所要ピーク電流は2倍の15mA、17.56mA、19.14mA必要になる。もし100kHzまで低域と同じ最高出力電圧を確保しようとすればインピーダンスは10kHzの場合の1/10となるから、所要ピーク電流も10倍の74.9mA、87.8mA、95.7mAになる。1MHzであれば所要ピーク電流はさらに10倍の749mA、878mA、957mAとなる。

最大出力電圧450Vr.m.s.を得るために±DC330Vの電源が必要であるとして、動作時終段の素子にも330Vの電圧が掛かるとすれば、アイドリング時の動作電流を5mA,10mA、20mAとしても、その損失は1.65W、3.3W、6.6Wにもなるのだから、最大出力電圧が得られる高域周波数を10kHzまでということで考えてもそれなりの規模の終段が必要であることが分かるし、さらに100kHzや1MHzまで低域と同様の最大出力電圧を得ようとすれば、その10倍、100倍の規模のいわば超ド級パワーアンプ並のとてつもない終段が必要になってくるということだ。また、現実そのような超ド級パワーアンプ並の終段にしようとしまいと、容量負荷のインピーダンスは高域方向に0Ωに向かって20dB/octでリニアに低下していくのだから、イヤースピーカーのドライブアンプの終段には電流や損失制限型の何らかの保護回路が必須だ。と、イヤースピーカーが純粋容量負荷であるなら言えるわけだが、この世に存在するコンデンサーがそうであるようにイヤースピーカーの場合も寄生レジスタンス分やインダクタンス分がないわけがないから、どこからかはインピーダンスが上昇に転じているのだろうとは思うが、まぁ、それを勘案しても保護回路は必須だろう。

・そこで次に、これだけの高圧においてこれだけの電流や損失に耐えられる素子が入手できるのか?を考える。

ネットで探ってみると、そもそもこれだけの高圧に耐えられる素子が非常に限られているということが分かる。特にPチャンネルがほとんどない。NチャンネルならMOSやバイポーラTRにいくつか存在するようだ。が、660Vの電源電圧に耐える必要があるから、余裕をみて800V以上の耐圧を有する素子ということで限定すると、入手できそうで、使えそうなものはダイナミックフォーカス用という種類のトランジスタぐらいだろうか。


・で、そのダイナミックフォーカス用の耐圧トランジスタにおいて
PNP型がかろうじて存在するのだが僅かに2種しかない。サンヨーの2SA1967と2SA1968だ。この二つは単なるパッケージ違いで中身は同じもののように思われるのだが、その絶対最大定格のIcmaxは10mAであり、許容損失は放熱器なしで1.75Wと2Wしかない。しかもそのIc−hfe特性やIc−ft特性からすると実際にはIc5mA以下で使った方が良さそうなTRだ。が、これしかない。
NPN型であるとサンヨーと東芝にいくつか見つかるが、いずれもIcmaxが10mAから100mA、許容損失も放熱器なしでは2W、無限大放熱板を付けても10Wというのが最大のようだ。

・ということは、素子面からして大損失に耐える終段を作るというのはそもそもかなり難しいということになる。電源電圧330Vでアイドリング電流を5mA、10mA、20mAとして損失が1.65W、3.35W、6.6Wとなるところに、PチャンネルではIcmax=10mAで許容損失2W、NチャンネルでもIcmax=100mA以下で損失も最大10W以下の素子しか起用できそうなものがないのだから、イヤースピーカー用ドライブアンプの終段はかなり窮屈で、終段に起用することが出来る限られたトランジスタの限界を越えないようにしながら、その限界の範囲で可能な限りの最大出力電圧帯域幅が得られるように設計するということになる。と思う。

・それもこれも元はと言えば、負荷が、インピーダンスが周波数に比例して高域に至るほど低下していく容量負荷であるためである。120pF、恐るべし。

・ということであると、イヤースピーカー用ドライブアンプの性能、というか高域限界は終段によって規定されることなる。すなわち、終段がアンプのスルー・レートや最大出力電圧帯域幅を規定するものにならざるを得ないと考えられる。

・そこで、試しに、イヤースピーカーの容量負荷を120pFとした場合に、ドライブアンプの最大出力電圧の設定値ごとに、最大出力電圧帯域を1kHz、10kHz、20kHz、100kHz、1MHzとした場合、それぞれ必要になる終段の所要スルー・レート、終段の所要電流、所要ピーク電流を求めたものが下表である。
 この際、所要スルー・レート=π*f*所要p-p電圧
      所要電流=所要スルー・レート*C
      所要ピーク電流=所要p-p電圧/負荷インピーダンス

最大出力 所要p-p 各相所要 周 波 数 1kHz 10kHz 20kHz 100kHz 1MHz 備 考
電圧 電圧 p-p電圧 負荷インピーダンス 1.327MΩ 132.7kΩ 66.35kΩ 13.27kΩ 1.327kΩ 120pFとして
450Vr.m.s. 1273Vp-p 637Vp-p 所要スルーレート 4.00 40.02 80.05 400.24 4002.39 V/uS
         所要電流 0.48 4.80 9.61 48.03 480.29 mA
         所要ピーク電流 0.96 9.60 19.20 96.01 960.06 mA
400Vr.m.s. 1132Vp-p 566Vp-p 所要スルーレート 3.56 35.56 71.13 355.63 3556.28 V/uS
         所要電流 0.43 4.27 8.54 42.68 426.75 mA
         所要ピーク電流 0.85 8.53 17.06 85.31 853.05 mA
350Vr.m.s. 990Vp-p 495Vp-p 所要スルーレート 3.11 31.10 62.20 311.02 3110.18 V/uS
         所要電流 0.37 3.73 7.46 37.32 373.22 mA
         所要ピーク電流 0.75 7.46 14.92 74.60 746.04 mA
300Vr.m.s. 849Vp-p 425Vp-p 所要スルーレート 2.67 26.70 53.41 267.04 2670.35 V/uS
         所要電流 0.32 3.20 6.41 32.04 320.44 mA
        所要ピーク電流 0.64 6.41 12.81 64.05 640.54 mA

・さらに、終段の供給可能ピーク電流ごとに、その場合の最大出力電圧がどうなるのかをグラフ化するとこうなる。単位は縦軸がV、横軸がHz。

・このグラフには最大出力電圧450Vr.m.s.、400Vr.m.s.、350Vr.m.s.、300Vr.m.s.、そして100Vr.m.s.の場合の
各相p−p電圧も表示しているのだが、要するに、ドライブアンプの最大出力電圧は、低域では電源電圧によってグラフの水平線以下に制限され、高域では終段のピーク供給電流設定によってグラフの斜め線の左下部分に制限され、結局ドライブアンプが正しい正弦波を出力出来る領域は、電源電圧による水平線と終段電流設定による斜め線で囲まれた左下内側の領域になるということだ。

・LOG表示しているから当然と言えば当然なのだが、こうしてみると電源電圧設定に起因する最大出力電圧の300Vr.m.s.と450Vr.m.s.の差は大した差ではない。もとよりヘッドルームとして3.5dBの差に過ぎないのだ。むしろ問題は電流だ。正弦波で450Vr.m.s.の出力を得るためには、低域では電源電圧が確保されていれば大丈夫で終段1mAのピーク供給電流でも1kHzまでは450Vr.m.s.の最大出力電圧が得られるのだが、高域で20kHzまでこの出力を得ようとすると20mAのピーク供給電流が必要であり、100kHzまでこの出力を得るためには100mAのピーク供給電流、1MHzであればなんと1Aのピーク供給電流が必要となるということだ。




・結局、イヤースピーカー用ドライブアンプは、音楽ソースのスペクトラムが大体数kHz以上では右下がりになっていることを踏まえ、どこまで高域の最大出力電圧帯域を確保するかで、終段の動作電流=終段の規模を決める。というものになるだろう。帯域を高域に広げれば広げるほど終段の損失、したがって終段の規模は大きくなるので、起用できる素子の限界も踏まえてこの辺をどこで妥協するか、あるいは調和させるか、という判断をするということになる。

・ところで、以上から当然に、イヤースピーカーの容量が少ないほどドライブアンプは楽になる。同じドライブアンプでイヤースピーカーの容量が少ないだけで最大出力電圧帯域は高域に広がるし、同じ最大出力電圧帯域で良いのであればイヤースピーカーの容量が小さいほどに終段の動作電流を減らすことが出来る。まぁ、これが理由ではないのだろうが、カナル型のSR−003を例外として他のイヤースピーカーは価格が高くなるほどに容量が小さくなっている。(爆)

・さて、どうするか?

・最大出力電圧帯域を1MHzまで確保しようなどというのは無謀だしまず無理。だいたい、イヤースピーカーの周波数特性が7〜41kHz程度のところに1MHzの高周波大振幅信号を送り込む可能性を持つようなアンプを作っても百害あって一利なし。

・100kHzまで。なら可能かもしれない。が、かなり大規模な終段になると思われる。また、この場合も同じく百害あって一利なしかもしれないし、音的に利があるかどうかも分からない。

イヤースピーカーの周波数特性を踏まえて40kHzまでとか、可聴帯域の20kHzまで低域と同様の最大出力電圧帯域を確保する。というのは一つの合理的な考え方かもしれない。

・あとは、トータルバランスの観点から、実際の音楽ソースのスペクトラムを考えて例えば低域と同様の出力電圧帯域を5kHzとか10kHzまでにするか。というあたりだろうか。10kHzまでとしても20kHzでの最大出力は6dB小さくなるだけなのである。

・そこで、スタックスの純正ドライブアンプはこの辺どうなのか?を推測する。SRM−323Aの取扱説明書には、その周波数特性がDC〜60kHz(0dB〜−3dB、100Vr.m.s.、SR−303 1台負荷)と記載されている。STAXのHPにおいて40Vr.m.sにおいてと明記されているSRM−252Aを除いて他の機種の測定条件が確認出来ないのだが、その他の純正ドライブアンプの周波数特性も100Vr.m.s.(0dB〜−3dB)でSR−303、すなわち120pF負荷の場合のものと考えて当たらずとも遠からずなのではなかろうか。

・という前提で、その数値は広い順に727AがDC〜115kHz、007tAがDC〜100kHz、006tAがDC〜80kHz、323AがDC〜60kHz、300(その内部写真の放熱器の大きさからすると100Vr.m.s.ではないかもしれない)が4〜60kHz、そして252AがDC〜35kHz(40Vr.m.s.)なのだが、この高域の−3dBポイント周波数からその*0.7(≒−3dB)の周波数当たりが多分終段の動作電流設定によって120pF負荷の際に正弦波100Vr.m.s(252Aは40Vr.m.s)が出力限界となるポイントではないかと推測される。ので、その数値から終段動作電流を逆算してみるとこうなる。この場合、終段はA級バランス回路プッシュプル動作で、ピーク電流は推定アイドリング電流の2倍取り出せる回路との想定である。

機  種 周波数特性 *0.7 推定アイドリング電流
SRM−727A DC〜115kHz 80.5kHz 8.62mA〜12.31mA
SRM−007tA DC〜100kHz 70kHz 7.49mA〜10.71mA
SRM−006tA DC〜80kHz 56kHz 6.0mA〜8.57mA
SRM−323A DC〜60kHz 42kHz 4.5mA〜6.43mA
SRM−300 4〜60kHz 42kHz 4.5mA〜6.43mA
SRM−252A DC〜35kHz 24.5kHz 1.06mA〜1.51mA

・もしこの推測が当たらずとも遠からずであるとすれば、純正ドライブアンプも余り高域を欲張ったものではなく、現実的な設計になっているということになる。その最大出力帯域幅はSRM−727Aが20kHzまで確保されているかもしれないが、他の機種については確実に20kHz以下でほぼ価格順にこれが低下していき、SRM−252Aでは4kHz程度ではないかと考えられる。

・というところを見ると、イヤースピーカーの能率が100dB/100Vr.m.s.であり、その純正ドライブアンプの周波数特性がSR−303一台負荷の100Vr.m.s.時で規定されていることからしても、イヤースピーカーのドライブアンプとしては可聴帯域上限(20kHz)で100Vr.m.s.の最大出力が得られるものにすれば、十分御の字なものになると考えて良いのかもしれない。

・という訳で、再度整理してみる。

最大出力電圧 帯域上限→ 10kHz 20kHz 40kHz 60kHz 80kHz 100kHz
100Vr.m.s. 所要アイドリング電流 1.07 2.13 4.27 6.40 8.53 10.66
   所要ピーク電流 2.13 4.27 8.53 12.80 17.06 21.33
200Vr.m.s 所要アイドリング電流 2.13 4.27 8.53 12.80 17.06 21.33
   所要ピーク電流 4.27 8.53 17.06 25.59 34.12 42.65
300Vr.m.s. 所要アイドリング電流 3.20 6.40 12.80 19.19 25.59 31.99
   所要ピーク電流 6.40 12.80 25.59 38.39 51.18 63.98
400Vr.m.s 所要アイドリング電流 4.27 8.53 17.06 25.59 34.12 42.65
   所要ピーク電流 8.53 17.06 34.12 51.18 68.24 85.30
450Vr.m.s. 所要アイドリング電流 4.80 9.60 19.19 28.79 38.39 47.98
   所要ピーク電流 9.60 19.19 38.39 57.58 76.77 95.97 mA


・左上から右下までで50倍の差だ。電源電圧は出力電圧に比例して4.5倍になるだろうから左上から右下までで損失的には225倍の差になるだろう。いずれこの辺で終段の損失、従って規模、起用する素子等のことを想定しながら、どこにすべきか?よ〜く考える。ということになる。



・といったところで、PSpice(評価版)シミュレーターで占いつつ、少し具体的に考える。

・A案

・終段にもろもろの制約がないのならば、容量負荷をドライブするのだから、PチャンネルとNチャンネルが存在する半導体を起用して、終段を各相ともプッシュプル動作とするこういう普通の回路が良いに違いない。すなわち、2段差動+プッシュプルエミッタフォロア。

・差動アンプで位相反転してそれぞれにプッシュプルエミッタフォロア出力段を付けてバランス出力を得る。NFBは初段のソースに戻す。これで所謂“電流帰還型”の動作になる。クローズドゲイン設定は54dB((300k+600)/600=501倍)と純正ドライブアンプに同じである。電源電圧はとりあえず±350Vとする。PSpice(評価版)の制限でTRが10個以内でなければならないので定電流回路には電流源シンボルを使っている。初段、2段目の動作点は電流源で規定した通りだが、終段は1mAにしてみた。1mAでは当然B級動作になるのだが、このようにプッシュプル回路であればそれで必要な電流はきちんと供給できるし、アイドリング時(無信号時)の損失を減らせる。プッシュプル回路の非常に優れた利点である。

・この場合初段の2SK117は別として、2段目の2SA872、終段の2SA970,2SC2240は仮のものである。また、この電源電圧では初段にカスコード回路が必要だがPSpice(評価版)の個数制限のため入れていない。どちらについてもPSpice(評価版)は素子耐圧や損失の限界に頓着しないのでこれでシミュレーションは可能だ。モデルパラメータもこの程度の低周波ではあまり厳密に考える必要もないようだ。位相補正はないとクローズドゲインの高域にピークを生じるので必要だが、2段目の入出力に0.5pFを入れるだけで十分のようだ。

・早速負荷としてSR−303、すなわちC4の120pFを負荷にして、そのゲイン−周波数特性を観る。




・オープンゲイン(緑)は低域で132.5dB、クローズドゲイン(赤)は設定通り54dB(500倍)である。



・はたしてこれで20kHz正弦波の450Vr.m.s.(=1,274Vp−p)を出力出来るだろうか?入力に657V/500=1.274Vの正弦波を入力して出力応答波形を観る。



・C4の両端の差電圧=出力電圧(赤)はピークで±637Vと450Vr.m.s.(=1,274Vp−p)が出力できている。これに伴いC4に出力電流(緑)が流れる訳だが、ピークで±9.6mAと理屈どおりである。



・実はこれの性能はもっと高いところにある。1,274Vの200kHz正弦波を入力して出力応答波形を観る。



・200kHz正弦波の場合でも、C4の両端の差電圧=出力電圧(赤)はピークtoピークで1,274Vと450Vr.m.s.が出力できている。これに伴いC4に出力電流(緑)が流れる訳だが、ピークで±96mAと理屈どおりである。




・高域性能限界を観るには方形波応答を観るのが良い。そこで100kHz方形波。



・出力電圧がC4の両端の差電圧(緑)のとおり、ピークで±637Vの方形波が出力出来てしまっている。その際に負荷C4を流れる電流(赤)はピーク±160mA近くまで立ち上がるパルス電流となっている。

・100kHz方形波をこの大振幅でこれだけ綺麗に出力できるのだから大したものだ。が、勿論立ち上がり、立ち下がりはやや鈍っており、高域限界が現れている。それはスルー・レートで表現される訳だが、これを方形波の立ち上がり、立ち下がりから読み取ると、1uSで1,000V以上立ち上がっておりスルー・レートは1,000V/uSを超えている。

・このスルー・レート値、すなわちこの回路の高域限界を規定しているのは、この場合、終段ではなく1段目の動作電流と2段目入出力間の位相補正Cによるものだろう。それによるスルー・レートは1.5mA/0.5pF=3,000V/uSとなるので1,000V/uSは理論値よりちょっと小さいが、まぁ、ここには2段目TRの入力容量もパラで効いてくるはずなので、いずれこの辺がこの方形波応答を規定していると考えて良いだろう。







・と、もし耐圧が800V程度あって、電流も数百mA流せるPチャンネルとNチャンネルの半導体素子があれば、こういう性能のドライブアンプも作れる可能性はある訳だ。が、現実にはそのような高耐圧で数百mAの電流が流せるPチャンネル素子はない。ので、これを実現するのはかなり難しい。

耐圧900V、Icmax=10mA、許容損失2Wの2SA1968を多数パラにして起用すれば、と考えられないことはない。が、プッシュプルエミッタフォロアは、負荷に求められるだけ電流を出力しようとするので、素子自体の許容電流、許容損失を超えて素子の破損に至ってしまう可能性が非常に高いと思われる。この高電圧動作下ではなおさらだ。厳重な保護回路が必要だろう。

高域を欲張ることなく、終段に電流制限回路や損失制限回路を付加し、その保護回路で低い電流値で保護するプッシュプルエミッタフォロアなら現実的かも知れない。しかしながら、それはプッシュプルエミッタフォロアの特徴をある意味殺してしまうものなので、
プッシュプルエミッタフォロアを起用する意味を失わせてしまうという恨みがある。

・という感じであるが、出来れば実現してみたい回路だ。




・B案

・現実に入手しうる素子とその限界を考慮し、必要最低限の電流で制限して終段素子を保護しながら目標を達する回路としては、やはりこういう回路が考えられる。終段を定電流回路付きのエミッタフォロアとするものだ。これだと終段エミッタフォロア+定電流回路は前段の構成と関わりなくNPNトランジスタのみで構成できる。

・やはり、というのは、この場合の終段はスタックスの純正ドライブアンプと全く同じだから。

・これだと、終段は必然的にA級動作になる。また、定電流回路で動作電流が縛られ、終段トランジスタにはその定電流回路で規定された電流の2倍を超える電流は流れない。だから、終段素子の安全、ひいてはアンプ自体やこれに接続されるイヤースピーカー、そして人間の耳が守れる。すなわち定電流回路が保護回路にもなっている訳だ。非常に合理的な回路だ。

・が、それが故に終段のスルー・レートもアンプ全体としてのスルー・レートも、定電流回路で設定した終段の動作電流で規定されることになる。

・まず、同様に負荷としてSR−303、すなわちC3の120pFを負荷にして、そのゲイン−周波数特性を観る。

・なお、PSpice(評価版)で制限されるTRの範囲で終段の個数が浮いた分、ここでは2段目差動アンプの定電流回路を電流源からTRで構成したものに変更してある。電流値設定は2mAと同じだ。




・オープンゲイン(緑)は低域で132.5dB、クローズドゲイン(赤)は設定通り54dB(501倍)である。A案と全く同じだ。電圧ゲインを稼ぐ初段と2段目が同じものだからこれは当たり前。

・ただ、オープンゲインにもクローズドゲインにも4〜5MHz付近に小さなピークがある。位相補正的に十分でないのかもしれない。が、その程度が微少なのでとりあえず頓着しない。




終段のアイドリング電流は、20kHzの正弦波を最大450Vr.m.s.出力するのに理論的に必要な9.61mAに、NFB回路に回る無効電流があることを考慮して多少プラス@した9.7mAである。

・果たしてこれで20kHz正弦波の450Vr.m.s.(=1,274Vp−p)を出力出来るか。





・C3の両端の差電圧=出力電圧(緑)はピークtoピークで1,274Vと450Vr.m.s.が出力できている。C3を流れる出力電流(赤)は、ピークで±9.6mAとこれも理屈どおりである。

・グラフには併せてこの場合の終段のTRQ3のエミッタ電流の変化(青)とQ4のエミッタ電流の変化(黄)を表示してある。双方が位相反転した正弦波電流を9.7mA±ピーク9.6mA出力することにより、アンプ出力の電流、電圧が形成されていることが分かる。そしてその電流振幅は0mAから19.4mAと、そのエミッタ側の定電流回路=保護回路で設定した限界一杯となっている。






・限界一杯であることを確認するために限界を超えるとどうなるのかを観る。そのためアンプ入力を21kHzにしてみる。勿論他の条件は同じ。たった1kHのオーバーだが、




・終段各トランジスタの電流変化が定電流回路によって頭打ちになるので、アンプ出力電流も頭打ちになり、アンプ出力電圧波形にも乱れが生じていることが分かる。

・終段のアイドリング電流9.7mAという電流制限値と負荷である容量120pFで規定されるスルー・レートにより、高域限界は20kHz正弦波で450Vr.m.s.までで、それ以上は無理なのである。これ以上の周波数でそれだけの出力電圧を得ようとしても波形がだんだんと三角波になっていくだけになってしまう。





試しに30kHz正弦波を入力してみる。


・すっかり三角波(緑)になってしまった。

・で、この三角波の傾斜=スルー・レートというのが理屈であるので、三角波の傾きから計算してみると10uSで800Vの立ち上がりであるからそのスルー・レートは80V/uSである。この場合の終段のスルー・レートは9.7mA/120pF=80V/uSであるというのが理屈なので、全く理屈どおりの結果だ。



・この場合30kHzの正弦波の最大出力電圧は、80/(π*30kHz)=849Vp−p=300Vr.m.s.が限界というのが理屈だ。

・ので、30kHz、0.85V(849V/2の1/500)の正弦波を入力してみる。



・30kHz、300Vr.m.s.(=849Vp−p)の正弦波(緑)が出力出来ている。ここまでは出力できるのである。理屈通りだ。



・方形波が入力されるとどうなるだろうか。10kHz±1.274Vの方形波を入力してみる。



・振幅は±637Vが出力できている。

・が、立ち上がり、立ち下がりからそのスルー・レートを読みとる80V/uS程度のスピードとなっている。なぜか電流ピークが±12mA程度まで出ているのだが、このスルー・レートも、9.7mA/120pF=80V/uSという理屈そのものである。




・と、全く理屈通りの動作をすることが分かる。だから100kHz方形波などを入力してもA案の場合のように綺麗な方形波は出力されないことは容易に想定できる。すっかり三角波になるだろう。

・が、450Vr.m.sの最大出力電圧帯域が20kHzまで確保されるのだから、可聴帯域にある音楽信号をイヤースピーカーに送り込むアンプとしては十二分以上の性能だろう。



・ところで、この場合の終段の損失は、1素子当たり3.3W〜3.4Wであり、終段トータル13W程度なる。したがって、それなりの放熱器を用意する必要がある。




・もし、音楽の周波数スペクトラムから考えて、20kHzにおける最大出力電圧は100Vr.m.s.で良い、という判断をするならば、終段のアイドリング電流設定は2.3mAまで減らせる。これでも電源電圧は同じなので4kHzまでは450Vr.m.s.の出力が可能だ。この設定なら終段の各素子の損失は0.8W程度だからそれぞれ小型放熱器を背負わせる程度で十分な放熱設計になるだろう。






・そこで、理屈どおり20kHz正弦波で100Vr.m.s.(=283Vp−p)が出力できるかを観る。





・C3の両端の差電圧=出力電圧(水色)はピークtoピークで283Vと100Vr.m.s.が出力できている。C3を流れる出力電流(緑)は、ピークで±2.2mAとこれも理屈どおりである。

・グラフには併せてこの場合の終段のTRQ3のエミッタ電流の変化(赤)とQ4のエミッタ電流の変化(青)を表示してある。双方が位相反転した正弦波電流を2.3mA±ピーク2.2mA出力することにより、アンプ出力の電流、電圧が形成されていることが分かる。






・この場合において、正弦波4kHzで450Vr.m.s.(=1,274Vp−p)を出力出来るかを観る。





・C3の両端の差電圧=出力電圧(水色)はピークtoピークで1,274Vと450Vr.m.s.が出力できている。C3を流れる出力電流(緑)は、ピークで±2mAとこれも理屈どおりである。





・このように、B案は、性能設計も分かりやすいし、入手できる素子で十分な性能が得られると思われるし、保護回路も単純で十分なものだし、イヤースピーカー用のドライブアンプとして非常に合理的かつ現実的なものだ。と思える。


・ところで、B案は終段の定電流回路が保護機能を果たすのであるが、そこに抵抗を用いてもその抵抗で電流値が制限されるので、その意味ではこのような普通の抵抗負荷のエミッタフォロアでも良いのではなかろうか。

・そこで、終段定電流回路を抵抗に置き換えてみる。終段のアイドリング電流を9.7mAとするため、その抵抗値は36kΩである。






・終段に流れる電流を制限して素子等を保護するという意味では、抵抗負荷でも良いということが分かる。終段のTRQ3のエミッタ電流の変化(青)とQ4のエミッタ電流の変化(黄)が19.4mA程度で頭打ちになっていることにそれが現れている。

・しかしながら、
終段トランジスタが9.7mA±ピーク9.7mA電流を出力しても、負荷C4に流れる電流(赤)がピーク±6.4mA程度にしかなっておらず、そのため、入力0.9Vですでにクリップしており、出力電圧(緑)もピークtoピークで900V程度でクリップが始まってしまっていることが分かる。

すなわち、終段エミッタフォロアの負荷が抵抗の場合、終段の振幅に応じてその抵抗に流れる電流も増減するため、出力への電流供給という面で定電流負荷の場合より効率が悪いのである。また、2段目に対する終段の入力インピーダンスも低下するため、当然アンプ全体のオープンゲインもやや低下する。

・すなわち、定電流負荷の方が高性能なのだ。


・が、ものは考えようであり、こちらが全く駄目だということではない。






・C案

・B案で、終段エミッタフォロアの動作点を2.3mAとしたものでも、20kHzで正弦波100Vr.m.s.が出力が可能であり、4kHz正弦波なら450Vr.m.s.出力が可能であることを観たのだが、その場合の終段素子の損失は0.8W程度だ。

・であれば、そのような設定の場合はあえて終段エミッタフォロアはなくても良いのではないか?

・というのがC案。2段差動アンプの出力でイヤースピーカーを直接ドライブしてしまおう、というものだ。これでも、2段目の差動アンプ及びそのカスコード回路の素子には定電流回路での設定電流値の2倍以上の電流は流れないので、2段目素子の安全、ひいてはアンプ自体やこれに接続されるイヤースピーカー、そして人間の耳が守れるという、定電流回路が保護回路にもなっているという点はB案の場合と全く同じなのである。また、アンプ全体としてのスルー・レートがこの定電流回路で設定した電流値で規定されることになるのも同じだ。

・で、その回路は当然こうで、とりあえず2段目の動作電流は10kHz正弦波で450Vr.m.sの出力が可能となる4.9mAとがんばってみる。

・早速、負荷としてSR−303、すなわちC3の120pFを負荷にして、そのゲイン−周波数特性を観る。なお、この場合も位相補正がないと5MHzにおいて10dBのピークを生じるので、同じく0.5pFを入れてある。




・オープンゲイン(緑)は低域で122dBとA案及びB案より10.5dB少ない。オープンゲインがやや少なくなるのは当然の結果だが、これだけあれば十分だろう。

・勿論クローズドゲイン(赤)は設定通り54dB(500倍)である。





・はたしてこの場合、正弦波10kHzで450Vr.m.s(=1,274Vp−p)を出力出来るか。



C3を流れる出力電流(青)、Q6の出力電流(黄)そしてQ7の出力電流(ピンク)はやや飽和気味である。が、C3の両端の差電圧=出力電圧(赤)はピークtoピークで1,274Vと450Vr.m.s.が出力できているようだ。まぁ、ぎりぎりの限界をちょっと超えたところなのだろう。

・なお、4.9mA付近にある横線は定電流回路Q5及びQ6の電流を表示したものである。当然4.9mAで一定でないと困るわけだが、まぁ一定かな。



・この場合、正弦波40kHzで100Vr.m.s.(=283Vp−p)が出力できるというのが理屈だが、





・C3の両端の差電圧=出力電圧(緑)はピークtoピークで283Vと100Vr.m.s.が出力できている。C3を流れる出力電流(赤)も、ピークで±4.2mAとこれも理屈どおりである。



・この場合方形波が入力されるとどうなるか。10kHz±1.273Vの方形波を入力してみる。



・振幅は±637Vが出力できている。

・立ち上がり、立ち下がりからそのスルー・レートを読み取ると40V/uS程度のスピードとなっている。なぜか電流ピークが±10mA程度まで出ているのだが、このスルー・レートも、4.9mA/120pF=40V/uSという理屈そのものである。

・この辺、B案の終段エミッタフォロアにおけるその動作電流設定の場合と理屈は全く同じである。






・したがって、C案もB案同様性能設計も分かりやすいし、入手できる素子で十分な性能が得られると思われるし、素子の保護もこれで問題なく、イヤースピーカー用のドライブアンプとして非常に合理的かつ現実的なものだ。と思える。

・この場合、カスコード回路と定電流回路のTRをパラにするという選択肢はないと思うので、さらに最大出力電圧帯域を高域に広げるために2段目の動作電流をこれ以上増やすことは難しいだろう。これで、2段目のカスコードアンプと定電流回路の素子の損失は1.7W弱となるので、これでも
それなりの放熱器を用いることが必要だ。これ以上を望んで2段目の動作電流を増やして放熱器も大きくする(あるいはカスコード回路と定電流回路をパラにする)のであれば、素直にエミッタフォロアを追加してそれに任せるのがスマートというものだ。





・と、C案もありだと思うのだが、STAXの純正ドライブアンプのカタログには、「出力段をエミッタフォロアーとし、低インピーダンス化。高域のダイナミックレンジの大幅な拡張を実現しました。」と書いてある。

・低インピーダンス化はその通りだが、高域のダイナミックレンジの拡張は出力段をエミッタフォロアとして低インピーダンス化するか否かというより、出力段の動作電流の増やし方次第であると思うのだが。。。、ん、この文章、句点で分けてあるところを見ると「低インピーダンス化」と「高域のダイナミックレンジの大幅な拡張」間の因果関係は主張していないのかな。。。?(爆) まぁいいか。だがこの際だ。出力インピーダンスを測定してB案と比較してみよう。

・アンプ出力に電流源を挿入し1mAのAC正弦波電流を流して、これにより出力端子間に発生する電圧をみれば出力インピーダンスが測定できる。





・結果、DCから1MHz程度まで2.21V程度の電圧が発生しているので、出力インピーダンスは2.21V/1mA=2.21kΩである。

・特に低い訳ではないが、高いという程ではないように思える。10kHzでそのインピーダンスが100kΩを超えるイヤースピーカーのドライブには十分低いように思える。





・B案の回路ではどうか。





さすがに低い。DCから1MHz程度まで31mV程度の電圧が発生しているので、出力インピーダンスは31mV/1mA=31mΩ。C案の31/2,210=1/71だ。





・やはりエミッタフォロを付加した方が出力インピーダンスは低くなる。のだが、では、10kHzで100kΩを超えるイヤースピーカーをドライブするのに、2.21kΩと31mΩの出力インピーダンスの違いにどれだけの意味があるのだろう。という感じはするし、純正のSRM−323Aでは、何らかの補正なのか高域に向かって限りなく0Ωに近づく容量負荷に対するアンプの保護なのか、エミッタフォロア出力からわざわざ5.1kΩの抵抗を通してイヤースピーカーへ出力を供給しているのである。

・といったところを勘案すると、C案の出力インピーダンスがイヤースピーカーのドライブに適さないレベルのものではないだろう、と思える。

・なお、これはこのC案の回路のオープンゲインが122dBあり、したがってNFB量が68dB程度あるため、結果その出力インピーダンスが2.21kΩと低くなっているからこうなるということなので、すべからく2段差動アンプ出力でOKで、エミッタフォロアは必要でないと言うことではないので、念のため。







・といったところで、下手な検討は終わりにして、実際に作ってみる。

・どの案にするか。だが、B案は基本的に純正と同じなのであまり製作意欲が湧かない。といって、A案はちょっと規模が大きくなりそうだ。

・で、まずは一番簡素で製作しやすそうなC案だ。

・で、これでもあれこれ考えて、その回路は下図のとおりとなった。

・その設計コンセプトは、C案であるから当然なのだが、“Simple and Refined”となる。

・したがって、最大出力電圧は欲張らない。そこで、電源電圧は±250V程度とする。その結果、最大出力電圧は純正のSRM−006tAと同程度の300Vr.m.s.程度の見込みだ。

・この最大出力電圧を欲張ると、電源電圧の増加で、素子耐圧、素子損失の問題が厳しくなっていくので、素子選択の範囲は狭まり、放熱対策の規模などは大きくなってしまう。

・上の方でも書いたが、私が某大衆家電量販店で実際に聴いた限りでは、最大出力電圧が300Vr.m.s.のSRM−006tAとSR−404の組み合わせ(SRS−4040A)でも十二分な音量だと感じられた。

・であれば、私のような素人が、これを欲張る必要はない。最大出力電圧は純正のSRM−006tAと同程度の300Vr.m.s.程度に止め、電源電圧はそのために必要な±250V程度に押さえ、規模を押さえてシンプルにいくのが吉というものだ。

・そして問題の出力段の動作電流の設定(この場合は=2段目差動アンプの動作電流設定)だが、これは4.5mAとしてみる。そうすると、理論的に周波数特性的にはDC〜60kHz(0dB〜−3dB、100Vr.m.s.、SR−303 1台負荷)と、純正のSRM−323A同等の周波数特性が得られるはずだ。し、電源電圧を±250V程度に押さえた効果で、動作電流を4.5mAとしても2段目のカスコード回路及び定電流回路のトランジスタの損失は1W強に収まるので、放熱器なしの場合の許容損失が2Wの素子をここに起用しても、小型の放熱器を背負わせれば十分な放熱設計になるだろう。




・回路は説明するまでもないものだが、初段がPチャンネル、2段目がNチャンネルになっている。のは、2段目のカスコード回路又は定電流回路に起用できるPNPトランジスタが2SA1968に限られ、しかもその2SA1968のIcmaxとASO(動作安全領域)から、2段目の動作電流設定を4.5mAとした場合、2SA1968を2段目のカスコード回路に起用することは厳しいと思われ、そうなると定電流回路に起用するしかないからである。

・初段差動アンプ、2段目差動アンプ用の素子は、選別や接着の面倒がいらず、もとより特性の揃った素子で差動アンプ用に設えられているデュアルFET、デュアルTRにしたいものだなぁ。。。と思ってジャンクボックスを見たらお誂えなものが眠っていた。2SJ109と2SC1583だ。よって、これらを起用することにした。

・ただ、2SJ109はランクがGRだ。そのIdssは古い規格表によると−2.6mA〜−6.5mA。初段FETの動作点は1.5mAにしたいのでBLランクが残っていれば御の字だったのだが、GRランクしかないのだからしょうがない。ので、現物のIdssを実測してみたところ−3.6mA。問題なし。

・2SJ109はgmが22mS(Id=3mA時)と2SJ74並のgmを有する高感度デュアルFETだが、それが故かCiss=95pF、Crss=25pFとこちらも2SJ74並に大きい。そのためか否かK式では一度も使われたことがないのだが、STAXの純正ドライブアンプでは前世代まで初段に起用されていたようである。

・まっ、それはともかく、その動作点は1.5mAとした。

・初段のカスコード回路と定電流回路に起用した2SA1156はNECの現行品。STAX純正のSRM−323Aにも使われていることもあり入手してみたのであるが、その規格からするとK式でも端役として起用されることがある2SA1400のパッケージ違い品ではないかと思われる。耐圧は400Vだが、許容損失は放熱板なしで1W、無限大放熱板を付ければ10W、Icmaxは500mAと、なかなか使いでのあるトランジスタだ。

・2段目差動アンプの2SC1583はK式ではレギュレーターの誤差検出用差動アンプに用いられて著名だが、残念ながらアンプに起用されたことはない。音が先生の基準に達しないのかもしれないが、ディスコンの今となっては貴重なデュアルTRをジャンクボックスに眠らせておくのも忍びないので、ここで使ってみることにしたのである。

・2段目定電流回路の2SA1968は選択の余地はほぼない。STAXのSRM−323Aにも使われている。パッケージ違いと思われる2SA1967も当然使えると思うが、フル・アイソレーションではない分使い勝手が悪い。他にはこの電源電圧であると耐圧600VのNECの2SA1486が使えるかも知れない。が、この部分の電圧振幅の大きさを考えるとCob=2.2pFの2SA1968より相応しいとは言えないか。

この定電流回路で2段目の動作点を4.5mAに設定する。

・位相補正のコンデンサがわざわざ1pFの2個シリーズになっているのは500V耐圧の1pFのマイカコンデンサしか入手出来なかったため。耐圧600V以上の0.5pFのものがあればこうする必要はない。

・2段目のカスコード回路には東芝の2SC5466を起用してみた。STAXのSRM−323Aに使われているので、その真似をしたようなものだが、耐圧800V、Icmax50mA、許容損失は放熱板なしで2W、無限大放熱板を付ければ10Wで、なによりCobが極小で2.2pFである。この点で、電圧振幅の大きい部分に起用するものとしてPチャンネルの2SA1968と同様に相応しいので、これを起用してみることにした。また、電流的にも動作時最大9mA(4.5mA×2)は、ASOがVce=500Vでも20mAなので適切な範囲だろう。

・また、2段目の動作点を4.5mAとするとカスコード回路と定電流回路の2SA1968と2SC5466の損失は1Wを超えるので、小型の放熱板を背負わせる。熱抵抗10℃/W程度の放熱板だったと思うがそのメーカーと型番は失念した。





・抵抗などのその他素子はジャンク箱のあり合わせなので、基板上の風景は何となくk式に準じるものに見える。 

・基板裏側配線を7本撚り線でやってしまうのも、長年k式をやってきた因習のようなもので、AT−1の使用とともにこれが普通のことになってしまっているためだが、AT−1を使うのであればこれはこれで合理的手法だと思う。なお、基板に空いている穴は言うまでもなく放熱効果を高めようとしたもの。

・一方、帰還回路の構成や定数設定、初段と2段目の定電流回路の定電圧部の共有、初段定電流回路の損失を抵抗で分散したこと、DCオフセットを初段負荷抵抗にパラ接続したトリマーで調整する回路にしたことなどは、はっきり言ってSTAX純正のSRM−323Aの回路(あくまで推定)のぱくりだなぁ。。。(^^;

・結果、STAX純正のSRM−323Aから終段エミッタフォロアを取り除いただけのような回路になってしまった。(爆)


・が、こちらは2段目を差動アンプとし、電流帰還も掛けていないので、オープンゲインは純正SRM−323Aより多少大きいかもしれない。

・初段のgmはこの場合NFBが直にソースに戻ってくるのでソース抵抗による電流帰還は掛からないので、規格表からId=1.5mAなので15mS。2段目は、まずその動作電流が4.5mAなのでgm=40×4.5=180mS、hfeはGランクなのでまぁ600として、入力インピーダンスhieがhfe/gm=600/180=3.33kΩ、よって初段出力電流の2段目ベースへの分流率は3.3737/(3.3737+3.33)=50.4%、なので2段目は0.504×600=302.4。したがって全体でのGm=15×302.4=4,536mSとなるから、低域での負荷300kΩ(帰還回路の300kΩ)に乗じれば低域での利得=4,536×300=1,360,800倍≒122.7dB程度と概略計算される。

・これは、初段2SK117、2段目2SA872Aで構成した上のC案のシミュレーション結果とほぼ同じなので、まぁこんなものだろう。したがって、クローズドゲイン設定が54dBであるからNFB量は低域で64dB程度ということになる。これが多いか少ないかは色々見方はあるだろうと思うが、私にはそれを穿さくする能力はないので、頓着しないでこのまま作ってしまう。(爆)

・で、単純な回路だから、普通ならAT−1一枚にステレオ分が乗っても良さそうなのだが、放熱板がスペースの半分以上を食い、結局、片チャンネルがAT−1基板1枚にちょうど収まるものになった。


・あとは、その他の構成部品だが、まず、電源トランスは(株)フェニックスからRA50仕様でRコアトランスを入手した。整流ダイオードは折角なのでこの際最近流行りの日立のV19G(Eではない。Eは良いがGは駄目なんてことになったら大笑い。(^^;)だ。日立の半導体が殆どルネサスに移って古いものはことごとくディスコンにされたが、このダイオードは日立に残ったためか今のところ現行品のようだ。

・平滑ケミコンは220uF・350VのニッケミKMHねじ端子型をおごり、プロバイアス用のコッククロフト・ウォルトン回路の コンデンサーはたまたま部品屋に転がっていた630V0.01uFのフィルムコンデンサーだが、よく見るとニッセイのメタライズドポリエステルフィルム、MMCあたりのよう。

・左図は電源部。何の変哲もない普通の回路。K式ではスパークキラーは無縁だが、世間の常識では付けるべきものだろう。


ケースはDAコンバーター用に入手しておいたタカチのOS70−26−33BXが放置されたままなのでそれを使うことにした。また、イヤースピーカーの接続コネクタは(有)スタックスから直接SRC−5Pというやつを手に入れた。ボリュームにはコスモスのRV30YGがジャンクボックスに転がっていたのでこれを使う。

・今回もアルミL字アングルでケースに桟を渡してこれにトランスや基板を載せ、天板のみならず底板も自由に取り外せる構造にする。この方が配線作業も後々のメンテナンス作業も格段に楽になる。


・で、一気に組み立てる。と言っても一々確認と調整を行いながらだが。今回は特に注意深く進める。電源電圧が高圧だから誤って感電したら命に係わる。ので、電源を入れて調整する際は両手にゴム手袋をする。




・ケース内への部品配置は、ケース後方に電源部、前方にアンプ部として上手く収まった。また、ケース前面パネル配置はなかなか上手くデザイン出来ないものだが、あれこれ悩んだ末、えいや!と、ど真ん中にボリュームを持ってきてみたら存外に収まりが良いのでこれで行くことにした。結果、我ながらなかなか上手い出来映えのような。(^^;

・各部の動作確認も問題なく、電源の整流電圧は仮負荷として50kΩの抵抗を繋いで±280V程度。プロバイアスの方も4.7M手前で520V。ちょっと低いがまぁ良いだろう。なので、続いて片チャンネルずつ電源をつないでアンプを調整すると初段及び2段目のトリマーでスムーズにオフセット調整が出来た。なので、しばし電源を入れたままにして異常がないことを確認し、音出し。緊張の一瞬だが。。。

・上手くいった。イヤースピーカーから良い音が流れてきた。(^^)


・早速その奏でる音にしばし時を忘れて聴き入ってしまう。う〜ん、いい音だわい。(^^)と、完全に自己満足モード。(爆)(^^;

・が、しばらくして夢から覚めて冷静に音を判断することが出来るようになると、純正のSRM−323Aに比べると明らかに音が柔らかい。何となく真空管アンプっぽくてこれも良いかなぁ。。。という感じなのだが、低域はちょっと緩くもう少し制動が効いて欲しい感じ。。。ちょっと純正に負けるかなあ。。。

・と、いつまでも音を聴いているばかりではいかん(^^;。各部の最終的な動作確認をしないと。と、アンプ動作時の電源の整流後電圧を確認すると±260Vとなっている。ノンレギュレーターだから負荷電流が増えれば当然出力電圧は下がる。が、想定した±250Vは確保されているし、ややプラスになるようにトランス仕様を発注したので御の字の結果だ。

・次にプロバイアス用の電圧を4.7MΩ手前側で確認すると、なんと480Vしかない。トランスの巻き線を共用しているのでトランスの負荷が増えてこうなるのは当然なのだが、規定値580Vに対して480Vでは明らかに電圧不足だろう。なので、コッククロフト・ウォルトン回路入り口の分圧抵抗を調整してその電圧を580Vにした。なお、上の回路図は調整後の定数である。

・アンプ出力のオフセットは数Vレベルで安定しているようだ。通常のヘッドフォン用アンプでは問題のレベルだが、イヤースピーカーのドライバーとしてはこの程度は何ら問題ないだろう。

・続いて、アンプの正常動作を確認する意味で、オシロで波形応答を観ておく。実動作時とは違ってくるがとりあえず無負荷で、10kHzと100kHzの正弦波及び方形波応答である。

写真は上から右チャンネル正相側の10kHz正弦波応答及び方形波応答、
左チャンネル逆相側の10kHz正弦波応答及び方形波応答、右チャンネル正相側の100kHz正弦波応答及び方形波応答、そして、左チャンネル逆相側の100kHz正弦波応答及び方形波応答。いずれも写真下が入力波形で上が出力応答波形。アンプ入力のローパスフィルターはそのままに入力波形は470kΩ両端で観測しているので、10kHz方形波においてすでに入力波形自体立ち上がり、立ち下がりのエッジがやや鈍っている。100kHz方形波の鈍りは発振器自体の性能でもある。(爆) 入力は約0.4Vp−pで出力は約100Vp−p、100kHzの方は入力が約0.2Vp−pで出力は約40Vp−pだが、結論としては、応答波形には何ら問題がなく、位相補正も適切であることが分かる。

・良いのではないかな。(^^)

Rチャンネル+  10kHz sine 下0.2V/div 上 50V/div Rチャンネル+  10kHz square 下0.2V/div 上 50V/div
Lチャンネル-  10kHz sine 下0.2V/div 上 50V/div Lチャンネル-  10kHz square 下0.2V/div 上 50V/div
Rチャンネル+  100kHz sine 下0.1V/div 上 20V/div Rチャンネル+  100kHz square 下0.1V/div 上 20V/div
Lチャンネル-  100kHz sine 下0.1V/div 上 20V/div Lチャンネル-  100kHz square 下0.1V/div 上 20V/div


・と、出来たばかりの我がDRIVER UNIT for EARSPEAKERSの動作安定性をとりあえず確認したところで、再度その音を聴いてみる。。。なに。。。? その奏でる音はキリリ!と低域から高域まで引き締まり、抜群のトランジェント特性を感じさせる曖昧さのない非常に良い音に変身したのだった。素晴らしい。(^^)

・ということは、この間に変更を加えたのはプロバイアスの電圧だけであるから、この音の変化をもたらしたのはプロバイアスの電圧以外にはない。なるほどねぇ。やはりコンデンサー型。ダイアフラムに掛けるバイアス電圧が音を大きく変えるのはコンデンサーマイクの場合と同じなのだなぁ。と、一人得心したのだった

・で、私の初めてのDRIVER UNIT for EARSPEAKERSの完成を祝して記念写真を一枚。(爆)(^^)





・その後もこのDRIVER UNIT for EARSPEAKERSでイヤースピーカーの奏でる音を聴き続けているのだが、純正のSRM−323Aで聴くその音を超えているとは言わないが、劣ったところなど全く感じられない音を出しているように思える。

・と言う意味で、初めての“DRIVER UNIT for STAX EARSPEAKERS”のStudy成果としては満足な結果となった。(^^)

・引き続き純正DRIVER UNITと併用し、長期安定度をテストしていこう。合わせて純正ドライバーとの音の違いを聴き分けてみたい。




2009年8月10日





その後

・プロバイアス電源は電流は殆ど流れない。ということで、従前の回路で良いと思っていたのだが、ふと思いついてリップルフィルターを追加してみたところ、この方が良いのである。

・となると、このプロバイアス電源を超高速レギュレータで供給してみてはどうだろう。

・などということは考えない方が良いか。

・と、まぁ、A案の方と全く同様の内容。
(^^;(爆)     



2010年3月21日







その後の2(電流入力にしてみる)



・秋も深まり、気候も良くなった。

・ので、ちょっと工作してみた。
・その回路はこう。

・ただし、実機では2SA970は2SA995、2SC2240は2SC2291である。

・また、出力オフセット調整用にR2は50Ω半固定抵抗と24Ωのシリーズ、入力オフセット調整用にR8は3.6kΩと1kΩ半固定抵抗のシリーズとなっている。

・基板にはこれがステレオ分と電源回路が乗っている。

・電源はトランスのパイロットランプ用巻き線から取り、7805と7905でレギュレートする。
・LTSpiceが占うその周波数特性。

・上から帰還抵抗(=IV変換抵抗)が100kΩ(ピンク)、10kΩ(水色)、1kΩ(赤)、100Ω(青)、そして10Ω(緑)の場合。

・入力は1mAなので、帰還抵抗(=IV変換抵抗)が1kΩの場合に、出力電圧は0dB=1Vになる。

・IV変換ボリュームとして正しく機能することが分かる。
・これを入力のボリュームと置き換え、我がDriver Unit for STAX Earspeakersを電流入力方式にしようというのが、今回の工作。

ボリュームと置き換えるといっても、既存のボリュームは帰還抵抗(=IV変換抵抗)として流用して無駄にはしない。10kΩスケルトン抵抗とパラ接続にしてある。

・今回の基板を、従来の電源基板に重ねて配置し、所要の配線作業をして工作終わり。
・ボリュームをなくすといっても、それに替わって電子回路を挿入するわけだから、いくら電流入力となり電流伝送対応方式となっても音は良くなるだろうか?

・という思いもあったのだが・・・、

・なんだこの音は!と思ってしまうほど素晴らしいではないか。(爆)



2013年11月10日




“Driver Unit for STAX Earspeakers を Stady する その2” はこちら
“Driver Unit for STAX Earspeakers を Study する その3” はこちら
“Driver Unit for STAX Earspeakers を Study する その4” はこちら